阿蘇にて

縁あって、阿蘇の農家に四日ほど滞在させていただいた。

大きな収穫は以下。

たぶん生まれて初めて田の中を歩き、いかに足を使わずに生きてきたのか思い知った。この四日間で、満33年間にして初めて、足の指を自力で開くことができた。そういう神経は通っていないんだと、半ば諦めていたのに。おらの体は、まだこれから作っていけると確信できた。そして、ほんとうに今さらながら、「百聞は一見にしかず」という言葉の意味を知った。考え方は人それぞれ、どんな賢者の中にも正解はないのだということ。丁寧な暮らしを五感で体感できたこと。


台風の影響もさほどなく、それでいてほどよく雨が降ってくれ、木製の手押し除草機を押したり、田のヒエ抜きをした他にも、鰹節削り、コーヒーの豆引き、自家製ビール詰めなど、和気藹々と楽しんだ。日々のご飯が泣けるほど優しかった。


田に浸かっているといろいろあった。うまくバランスが取れなかったし、巻爪は化膿するし、蕁麻疹はでるし、ブヨやアブは群がるし。はっきりいって皮膚はかなり強いほうだ。日焼け止めも化粧水も使ったことないし、虫刺されくらいじゃ痒くもならん。だから、これには参った。海と同じで体に悪いものではないから、自分の体がいかに毒されているか、反応で知ってしまった。


作業をしながら、労働後の温泉で、晩酌しながら、3人の家族とそれぞれ語らう時間があったことも、とてもありがたかった。みんな、まっすぐに向き合ってくれた。いろいろな言葉が響いた。

  • ゆずれないものだけを守ればいい
  • 時間と空間、共感力は人それぞれ違う
  • まずは自分が受け入れられるか
  • 共感できる未来の可能性で十分
  • スポーツや舞台は共感の場所
  • 自給自足はエゴ
  • 地域との協調は大切

ほかにも、李恵さんのアルバイトの話にはすごく勇気をもらったし、おじさんから「想いを言葉にする能力がある人は、必ず必要とされる」といわれたのは嬉しかった。


人付き合いが苦手だった。スッピンの顔を見ては変な顔をされ、シャンプーを使わないと変な目で見られ、TVがないといっては笑われ。何も間違っていない、恥ずかしくないと胸を張っても、嘲笑は消えない。それは人のせいではない。おらがそんな場所から飛び出すことを億劫がっていた結果。おらはまず、自分の居場所をつくるところからはじめなくては。