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今さら「ジュゴンの見える丘」

十代も終わりを迎えるという頃、Coccoのアルバム「ブーゲンビリア」に衝撃を受け、「クムイウタ」の発売記念にミニコンポを買った。初めてミニコンポが部屋にやってきた。それは今も我が家で活躍している。いろいろな国の曲を聴いてきたが、一年以上も飽きることなく、アホみたいに繰り返し繰り返し聴き続けた音はそう多くない。それこそ、セクシャルマイノリティーはこの世で私一人じゃないんだと信じるためいつも聴いていたk.d.ラングの時期を除けば、年齢が一桁のころからCoccoを知るまで延々とTHE BLUE HEARTSが流れていたんだから。それは、この感覚を「知っている」という衝撃だった。あと少しでも年をとったら、きっと私が感じたことは何も分からなくなってしまうだろうと思った。そして「雲路の果て」以降、J-Popになってしまったと感じ、部屋では登紀子さんが流れることが増えていく。それはまだ学生だったころの話。


昨年末、久しぶりに休職といった形で時間ができたことで、「大丈夫であるように −Cocco 終らない旅−」をみたことがきっかけで、彼女の曲を久しぶりに聴いた。ほんとうに、ほうんとうに今さらながら、「ジュゴンの見える丘」に涙が出た。それは歌よりずっと祈りに近いものだった。そしてアルバム「エメラルド」を聴き、こんなに大きくなって帰ってきてたんだと。すべての曲の、歌詞ひとつひとつに、しっかりと想いが刻まれている。しっかりと故郷と向き合い、苦悩して出した答え。ありがちな、南国の自然や文化の安っぽい賛歌なんかじゃなく。胸や脳を素手でわし掴まれるような経験がまたひとつ増えたことに感謝したい。

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この歌を 2007年6月 大浦湾に帰ってきた 2頭のジュゴンに捧げます。
ありがとう。


ジュゴンの見える丘」についてCoccoより

笑っていてほしい 守るべきものたちに
明日も訪れる何かが 正しい やさしいであれ
悲しみは いらない やさしい歌だけでいい
あなたに降り注ぐ全てが 正しい やさしいになれ


ジュゴンの見える丘」歌詞

沖縄わらべうた「いったーあんまー まーかいが」


いったーあんまー まーかいが
べーべーぬ 草(くさ)かいが べーべーぬ まさ草(くさ)や
畑(はる)ぬ わかみんな 姉小(あんぐゎー)そーていコッコイ


いったーちゃーちゃー まーかいが
モーモーぬ 草かいが モーモーぬ まさ草や
畑ぬ わかかんだ 姉小そーていコッコイ


あなたの母さんは どこへ行ったの
山羊の草を刈りに 山羊の好きな草は
畑にあるわかみんな 姉さんも連れて


あなたの父さんは どこへ行ったの
牛の草を刈りに 牛の好きな草は
畑にあるわかかんだ 姉さんも連れて


ジュゴンの見える丘」挿入歌

「三村エレジーを冒頭に持ってきたのはとりあえず、『みんな死ね』って言いたかった(笑)。沖縄も日本も死ねって、なんかこのころ、攻撃的だった、すごく自分が。どうにもならないときって、1回全部なくなったらいいのにと思うさ? 野焼きしたい、みたいな。」


「三村エレジー(悲歌)」についてCoccoより

「三村節」 大正初期の三つの村の特色をうたった産業歌


小禄 豊見城 垣花三村 三村の姉さんたちが 揃って機織りの話 
糸まちがうなよ 元がとれないよ
潮平 兼城 糸満の三村 三村の姉さんたちが 揃って魚売りの話 
安売りするな 元がとれないよ
上泊 泊 元の泊の三村 三村の兄さんたちが 揃って塩焚きの話 
雨降らすなよ 元がとれないよ


「三村エレジー(悲歌)」原曲