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野良

自分らしい孤独

餌をもらったから、なんとなく居ついてみた。そうしたら、いつでも餌をくれるようになった。だから、今度は自分の意思で、ほかの人から餌をもらうことをやめた。そのまま日々は過ぎたけれど、飼われることはない。期待を抱いた生き方は辛く、そこを離れ遠くへ行った。優しい人にもたくさん会った。でも嫌なんだよ。ほかの人がくれる餌じゃ。これじゃ、飼いならされた野良だ。帰れば喜んでくれる。帰る場所なんてないはずなのに。姿が見えなければ心配してくれる。相変わらず餌もくれる。でもそれは、期待しちゃいけない餌だ。その餌を求めて生きているのは悲しすぎる。野良だから。


飼いならされるなんてごめんだって思いさえすれば、昔みたいな平和な朝がくるのか。前みたいに陽が昇るだけで幸せって思えるのか。振り払って、振り払って、野良の心を取り戻す度、気まぐれに餌を施される。そして尻尾を振って大喜びして、また虚無を抱える。何度も。野良のままで信頼を築けばいいじゃないか。苦しいのは、弱いからか。飼えもしないのに餌をやっちゃいけないんだよ。