水槽の中

島はもう若夏。遂にこの季節を迎えてしまった。 心構えは大丈夫なのか。 夏はだめだ。好きすぎる。匂いも。色も。情緒も。どんな時間帯でもやばい。最強はアコークローだ。

踏み切り。ナビなしで進める通いなれた道。川沿いの風の匂い。花火の音。いつのまにか増えた雑誌。たくさんの予定が書かれたメモ。結った髪。観覧車からの景色。ベンチ。強い陽射し。ラバーズ・コンチェルト。吊り橋。マトリョーシカ。笑い声。 思い出すことをやめても、断片的な記憶がまとわりつく。 夏の情緒がそれを助長させる。 なんだかんだ時は過ぎて、仕事や友人達と向かい合い、その繁多に救われ生きている。日々は慌しく、楽しく、それでもふと立ち止まって過ぎた日を思うこともある。 あの日、巨大なピラルクが泳ぐ姿をいつまでも眺めた。不思議な時間の中にいた。それから時が止まっている。今もそこにいる。