回復

研ぎ澄まされるのは何かに飢えている時、遠くまで歩いた時、昔は飲んだときもそうだったが、いつの間にか鈍った。年だな。それと、もうひとつある。あれは何というんだろう。やり方は心得ているがなんと呼ぶのか知らん。怪我をした時や病の時、体に酷い負担をかけたときや、精神が弱った時、私はひたすら眠る。これは日常的に睡眠を取る為にしているやつとは別ものだ。でも寝る以外になんて言うんだろう。獣が傷を癒す時みたいに、うずくまって外の世界と自分を完全に遮断する。リラックスはしてない。むしろ集中している感じだ。回復するまではいくらでもそうしているし、回復後起き上がっても良く寝たな〜って気分はない。ただうずくまって、身動きを一切せず、一切を遮断して治療に集中するというか。犬の声も聞こえなくなる。そして、一日もやれば大抵は元気になる。

滅茶苦茶な生活をしていた頃からか、旅するようになってからか、それよりもっと前からか、いつの間にかこうすることを覚えた。人間というか生き物なら本能で知ってるのかもしらんね。みんなそうしているのかな。私が人と共にいると心身ともに病みやすいのは、これができないからじゃないかと思った。他にも理由はあるだろうが。人が居ると、集中して内側に入って行くことができないのだ。気が散ってとかではなく、やることが多々あって。例えば、大丈夫?とかお腹空いた?とか聞かれれば答えなきゃいけないし、飯を出されたら、ありがとうありがとうと言って食うし、そんな時は独りじゃなくて良かったとホロリとするけれど、逆に独りで真剣にぶっ倒れている時のが回復は尋常じゃなく早い。便利なんだか不便なんだか。独り上手。