森の中の淑女たち

うっかりパンフレットを発見してしまった。即購入! 十年近く不動のNo.1。未だ、これを超える作品に出合ったことはない。老いへの恐怖が憧れに変わる、そんな貴重な体験をさせてくれた。

マンハイム国際映画祭グランプリ
原題 The Company of Strangers 1990年 カナダ
監督 シンシア・スコット
脚本 グロリア・デマーズ/デイヴィッド・ウィルソン/サリー・ボッシュナー

カナダ、ケベック州の片田舎。モントレンブラントの森で一台のバスがエンジントラブルを起こした。運転手の黒人女性はエンジンの知識がまったくなく、乗客たちは高齢の7人の婦人だけ。最高齢88歳のコンスタンスはこの森の"サマー・コテージ"の思い出があり、記憶を頼りにそこへ向かう。が、現れたのは朽ち果てた農家だった。


台本はここまで。出演者の七人の「淑女たち」は素人、本名のまま出演。この先に繰り広げられる、古家での八人の共同生活はすべてアドリブで展開される。ノン・フィクションといっても過言ではない。彼女達は素のまま、生きるために努力し・打ち解け・語らう。語らう昔話は全てが素晴らしく、人生誰もが主役なんだといつのまにか思える。それぞれが背負っている作り事じゃないリアルの歴史。随所にはさまれるモノクロの写真。絵空事のお話しなんかとは比べ物にならない迫力がある。オープニングでばぁちゃん達の名前がずらっと出て、「〜に捧げる」となってるんだが、もうそれだけで胸いっぱい!

「あなた独り住まい?」
「今は独り住まいだけど、人生のほとんどは女性と暮らしたわ」
「その事は文章にした?」
「書いたわ。でも60歳を過ぎてからだけど。今は平気で話しているわ」
「どんどん話したほうがいいわ」
「そうね、誰の人生も、それぞれ興味深いと思うわ」