はるさん マイ ラブ


はるさんマイラブ―離婚したので犬を飼うことにした

数ヶ月の間、はるさんとご主人にとても励まされてきました。身辺がバタバタし、ご迷惑や心配をかけた人もいるかと思います。その節はみなさんお世話になりました。感謝。独りで暮らすにあたって、ずっと不安だった。気ままに生きてきたけれど、これからはそうはいかない。どきんさんとあくびさんがいる。正直、自炊もままならず、月に数回は飛行機に乗ってフラフラし、取材で泊まり仕事もしばしば、夜は基本的に飲み歩く。そんな生活を続けてきた自分が1人で世話していけるんかと。子どもの時に動物を飼っていたわけではなし、哺乳類とかも特に好きじゃなかったのでそれはそれは心配だった。そんなことばかりグルグル考えていたとき、ふと出逢ったブログ。たくさんの愛情と笑いと勇気をもらった。一年分の記事を一気に読んで、それから毎日立ち寄るのが日課になる。数ヶ月後、ある日の日記を読んで泣きそうになった。ああ、はるさんの主人も辛くなかったはずなどないのに。一年間の日記は楽しく、そんなこと全く思いもつかなかったのだ。


うちは最初に犬ありきだったので順番は違えども、2人のドタバタ生活を見ていて、なんだか自分にもやれそうだと。人の日記によって、こんなに励まされたり、暖かくなったりすることがあるんだなぁと。今は楽しく暮らせている。どんなに遅く帰っても、そのままご飯をあげて3人で散歩に行く。毎晩月を見上げる。


2005年07月18日
明日は引越しだ

 はるさんとお散歩していて、喉が渇いたので自販機で缶ジュースを買ったわけだ。
 ここの自動販売機には、当たりくじが付いていて、「数字が揃ったらもう一本」というシステムになっている。去年の初めの頃に今の家に引っ越してきて、初めての晩にそこで缶コーヒーを買ったら、7が揃って当たったことがあった。何が起こったのか把握するまでに時間がかかり、大慌てでボタンを押したら得体の知れないフルーツジュースが出てきて苦笑したことを覚えている。そして、その謎のジュースを取り出しながら私はこう思ったのだ、「よし、俺はついてるぞ」、と。

 私が今の家に引っ越してきた時は、鳥屋のマスターとH田君と三人で、私の車とマスターの車で引っ越してきた。持ってきたのは、本棚と机と空っぽのレンジラックとテレビだけだった。マスターが余っている冷蔵庫、炊飯器、電灯、ガスコンロ、ソファを持ってきてくれ、恐ろしく殺風景ではあるがなんとか生活できる空間になった。
 私はそこに布団を敷いて眠った。枕元に缶コーヒーを置いて、たばこを吸いながら。

 4月になり、ちょっとバタバタして、新聞の取材なんかをいくつか受けたりもした。仕事は相変わらず忙しくて、夜は勉強して、鳥屋に通い、毎晩酔っぱらって寝た。寝る前には「不肖宮嶋」ばかり読んでテンションを上げていた。

 5月になり、「いぬのきもち」を読んだり、犬の育児書を買ってきては嘗めるように熟読した。blogを書き始めて、32歳になった。
blogの背景を真緑にして白抜きの文字が並ぶ様を見て「うん、いい感じじゃないか」と一人で満足した(これは後に、ライブドア有賀氏に「…いかにも男がいじりました、というデザイン…」と評されるw)。アクセスは一日20人位で、半数位は「離婚」を検索ワードでアクセスされていたのが、なにか面白かった。blogが暗くならないように、おもろいことばかりを考えるように努めていた。それが、生活の救いになっていた。


 そして6月も半ばを過ぎ、はるさんが我が家にやってきた。

 
 細々とではあるが、blogにはヒトが集まるようになり、私ははるさんと一緒にいれるように机を一つ買い足した。仕事して、勉強して、酔っぱらった。楽しかった。
 年が明ける頃には進路が決まり、blogは本になることになった。この頃私はこう思っていた、「やばいな、なんかいい事が続いているな。好事魔多しだからな、注意しないとやべえぞ」。
 はるさんは、いつもニタニタ笑っていた。


 明日、私はこの家を出る。


 ただの引越しである、センチメンタルになるような話では全然ない。正直に言って、この家に長く暮らすつもりはもともとなかったのだ。ひょっとしたらまた元の家に戻るかもしれないし、とりあえず安いとこ借りて家具も買わないでおこう、という意図で住んでいただけである。1年半しかいなかったけれど、もっと早くに引っ越すつもりだった。むしろ長く居過ぎた位なのだ。

 それでも、このショボショボのアパートは、どん底の私を回復させてくれたと思う。今も迷いがないわけではなく、不安と戦いながら生きている。それでも、また音楽を聴くようになり、少し小洒落た家具でも買おうかとか思うようにもなり、休みには旅行にでも行きたいな、と思えるようになった。blogで愚痴る事も減ったような気がする。この家は、なんというか、ついていたのだ。

 私は、変化を好まない。できれば、いつまでも同じ生活をしていたいと思うタイプの人間である、新しい暮らしには不安が付きまとい、それは私は望んではいないのだ。それなのに私の生活は、いつも変化しつづける、引越しは8度目だ。だから、動く時には少し不安になる。きっと素晴らしい日々が待っているとは思えず、なんかややこしいことがあったら嫌だなあと先に思ってしまう。じゃあ動くなよ、と言う話ではあるのだが、もうそれが自分の性分と諦めないと、と投げちゃったわけでもある。明日になれば引越し屋はやってくる。今日は勉強をしなければ。


 さあさあ、早くお散歩すましちゃおうな、はるさん。
 自販機で買ったウーロン茶を取り出してお散歩に戻ろうとする私の背中で、「ピピピピ」という効果音が響いた。一年半ぶりの効果音に驚いて振り返るとそこには「3333」が揃っていた。焦った私は、またへんなネクターもどきのボタンを押してしまった。自分が全然進歩していない事に苦笑しながら、私ははるさんに話しかけた。

 「はるさん、俺達はついてるぞ!」


 はるさんは、いつもと同じ微笑みを私に投げかけてくれた。

http://blog.livedoor.jp/k91024/archives/28363782.html


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愛娘 =http://d.hatena.ne.jp/manabitch/20050105/